緊急事態宣言は意味がなかった

「さすがに、夏の時短要請や冬の緊急事態宣言は、飲食店しかターゲットにしていないのに効果が絶大だったことを否定はできまい!」

いや、効果は全くありませんでした。
まず夏の時短要請からいきましょう。なぜ夏の時短要請が効果が出たと思いますか?

「それは飲食店を閉めさせたからに決まっている!飲食店の利用者数が減り、接触機会が減ったから感染が減ったのだ。簡単な話だ」

では、実は全く飲食店の利用者数が減っていなかったとしたら?
こちらをご覧ください。


表1

参照:GIG-IN サイト(株式会社TableCheck)

表2

参照:FOODS CHANNLEサイト(出典:日本フードサービス協会)

夏の時短要請は、冬の緊急事態宣言と違い、緩い要請でした。
そのため、要請に従う店も少なく、お客さんも開いている店に行っているだけだったため、全体としてはほとんど利用者数が減っていなかったのです。
むしろ、やっている時間ややっているお店へ集中し、密度があがってしまっていたくらいです。
下の図では、居酒屋だけ8月に少し下がっていますが、9月にはものすごい勢いで上がっており、9月の感染者数も増えていないです。
よって、夏の時短要請は、そもそも飲食店での接触機会を減らすという対策としては大失敗しているのに、それでも夏の感染者数は収束したのです。

■冬の緊急事態宣言は、開始から茶番。
大阪と北海道が20時までの時短要請でうまく行っているのに、東京が21時までのままでやれることもやらないまま、国に緊急事態宣言を求めるのはおかしいと菅総理が小池知事に伝え、その流れで、20時までの時短要請をベースとする緊急事態宣言となったのです。

参照:産経新聞、「北海道、大阪府など時間短縮を行った県は結果が出ている」「飲食店を午後8時で閉じればいいのにやっていなかった。小池氏の失政だ」

大阪は最初コントロールできているから、緊急事態はいらないということでした。
しかし、緊急事態宣言をすることが決まった直後、大阪の感染者数が年明け爆発し、それで大阪も後から飛び乗ってきたのが冬の緊急事態宣言でした。

参照:読売新聞、感染増で一転、緊急事態要請へ 医療体制 限界迫る…大阪

時系列にすると
1/4 菅総理「北海道、大阪はうまくいってる。20時まで時短しなかった東京の失政
1/4 大阪の吉村知事「緊急事態宣言を要請しない」
1/7 首相官邸 関東に緊急事態宣言を発出。飲食店に20時までの時短要請。
1/7 大阪の吉村知事「感染の拡大が明らかにみえている。」と大阪も緊急事態宣言を要請。

この時大阪で感染爆発した新規陽性者の皆さんは、大阪がコントロールできていると勝ち誇り、菅総理も模範的に東京と比較した20時までの時短要請中の大阪の感染なのです。
そもそも、北海道と大阪は20時までの時短要請でうまく行っているのに、東京は21時まででダメだから、緊急事態の内容は20時までの時短要請にすることになったのに、大阪が実は成果があがっていなかったと発覚した時点で、冬の緊急事態宣言の時短要請の大義はなくなっているのです。
仮に、大阪が感染の拡大が明らかと言いだした1/7が、あと3日早かった場合、東京を叱咤し、北海道・大阪を参考に20時までの時短要請をしようとなっていたでしょうか?
この3日の差で、その後2ヶ月も続く緊急事態宣言が決定してしまったのです。
効果の出ていなかった大阪を模範とし、全く同じことを緊急事態宣言でやろうという意味不明の流れでした。

また、この時に菅総理と専門家は重大な嘘をつきました。
菅総理「専門家も、東京で6割を占める経路不明の感染の原因の多くは飲食が原因であると指摘されています。」
参照:首相官邸 2021年1月7日記者会見

すでに大阪では夜の街を追跡調査しており、感染経路不明の12月時点での夜の街関係者は9%程度であることを掴んでおりました。
全PCR検査に占める保健所比率が10%を超えていただけなのですが、ここではひとまず置いておきましょう。

表3
参照:20ページ、夜の街の関係者及び滞在者の状況(感染経路不明者における該当者)、21ページより居酒屋・飲食店・バーも含んでいることが分かる

東京と大阪で経路がそう大きく変わるはずがないため、経路不明の感染の原因の多くは飲食ということがありえないことくらい、この時点の情報で把握できたはずです。

緊急事態宣言直前の東京都の判明している感染経路では、接待を伴う飲食1.4%、会食9.0%です。
接触歴等不明者の割合は、同時期で67.3%とあります。

表4
参照:5ページ新規陽性者(濃厚接触者における感染経路)と、12ページ接触歴等不明者の割合

経路判明者の飲食や会食の10.4%に判明者率32.7%を掛け、経路不明者67.3%に夜の街関係者9%を掛け、両方を合わせると、全体の10%程度が飲食+会食ということになりますが、これを時短して飲食店の利用者数を半分に下げたところで5%しか減らないことになります。
あそこまで飲食店を制限して、税金で協力金を大量にばらまいて、国民生活に不自由を強いて、見込める効果が100→95程度だったのです。

飲食店での感染者数が少なくとも、そこで感染した人が広めているという主張をされる方は、『家庭内感染は結果である、という嘘』のページをご確認下さい。

このような茶番で始まったのが第2回緊急事態宣言であり、事実を捻じ曲げてでも緊急事態宣言をやることが既定路線だったことが分かります。
夏と同様、100→95のような意味のない対策でも、きちんと収束しました。
インフルエンザも1~2月に何ら対策しなくても収束します。

■欧米を見てもロックダウンの成果は主張できない
「ロックダウンをしたアメリカでも60万人、欧州でも10万人前後亡くなっている国がたくさんあるため、何の対策もしなければ日本でも数十万人亡くなっていた可能性がある」
のような明らかな嘘を言っている人がたくさんいますが、それが言えるのは、日米欧の中では日本が最も厳しい対策をしており、欧米が日本より緩くやってしまったがために死者数をたくさん出してしまったケースのみであり、ロックダウンをした国の方が圧倒的に死者数が多かった事実からは、ロックダウンのような厳しい制限が、死者数減少に貢献していないか、むしろ悪影響だったのではないかという主張しかできません。
それでも、日本の対策がさらに緩かった場合に数十万人亡くなるはずだったと主張しようとすれば、全く別のデータを持ち出す他ないでしょう。
海外の事例にならって、日本も追随できる明らかに効果があったと言える対策は、ワクチンの普及だけです。
ロックダウンが客観的数値を元に成功したと言える根拠は、今のところ何一つありません。
人流抑制や飲食店制限という意味では、ロックダウンの劣化版としか言えない緊急事態宣言も、これらのことから、海外を成功事例とした正当性の主張はできないのです。

■第1回緊急事態宣言から効果に疑問の声があった
2020年4~5月の第一回緊急事態宣言直後に、以下のように専門家からも効果に疑問の声があったにもかかわらず、緊急事態宣言の効果検証は以降ほとんど行われておりません。


参照:TBS NEWS 緊急事態宣言"効果"検証の動き

6月12日 大阪府の専門家会議
京都大学 ウイルス・再生医科学研究所 宮沢孝幸准教授
「なぜ(感染が)ピークアウトしたのかは緊急事態宣言後の自粛によるものではない
大阪大学核物理研究センター 中野貴志教授
「(ピークアウトのために外出自粛は)データを見る限り関係なかった
(緊急事態宣言も営業自粛も全く効果は)なかったと思います
(※()内は吉村知事の問いかけ)


「なんということだ!夏の時短要請は、そもそも飲食店の客数も売上も減っておらず空振りだったにも関わらずきちんと収束してしまっており、冬の緊急事態宣言は大阪で20時までの時短要請が効果がないと発覚後でも強硬してしまっていて、菅総理と専門家が感染経路不明の大多数が飲食関連と言ったのも、完全な嘘だったと…確かに、結論ありきの出来レースに思えて来る。しかし!緊急事態宣言の意図はそれだけじゃないはずだ!人流を抑制することで間接的に飲食店以外の感染減少にも繋がっているはずだ!あんなに頑張った緊急事態宣言が無駄なはずがなーい!」


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